○隔の一字は人情の大患なり、故に君臣・父子・夫婦・朋友・上下の交わりには務めて隔を去る。此字去らずして、而も怨み叛かざる者は未だ之れ有らざるなり。
○ 子弟、富貴の家に生まれたるは、十の九は驕惰淫泆多く、大いに長進せず。
○ 言を慎むの地は、惟れ家庭を要と為す。
○ 閨門の中(家庭内)、此の礼の字を少き了れば、身亡び家破るること皆此れより起る。
○ 曲木は縄さるるを悪み、頑石は攻めらるるを悪む、善を責むるの言は慎まざる可らざるなり。
○ 道は是れ第一等、徳は是れ第二等、功は是れ第三等、名は是れ第四等。
○ 世の欲悪は窮り無く、人の精力は限有り、限有るを以って窮り無きと闘へば則ち物の人に勝つこと、啻に千万のみならず、之を奈何ぞ病み且つ死せざらんや。
○ 天下の治と乱は、只だ相責めるか各々尽すかの四字にあり。
○ 生成は天の道心、災害は天の人心なり、道心は人の生成、人心は人の災害なり。
○ 大事・難事には擔当を看、逆境・順境には襟度を看、喜に臨み怒に臨みては涵養を看、羣行・羣止には識見を看る。
○ 其心を大にして天下の物を容れ、其心を虚しくして天下の善を受け、其心を平かにして天下の事を論じ、其心を潜めて天下の理を観、其心を定めて天下の変に応ず。
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