○
16.寵利(利益)は人前に居るなかれ、徳業(善行)は人後に落つることなかれ、受享(報酬)は分外に踰ゆるなかれ、修為(修養)は分中に減ずるなかれ。
○
17.人を利するは、実に己を利するの根基なり。
○
49.福は事少なき(平穏無事)より福なるはなく、禍は心多き(欲求過多)より禍なるはなし。唯だ事に苦しむ者のみ方めて事少なきの福たるを知り、唯だ心を平かにする者のみ始めて心多きの禍たるを知る。
○ 62.真廉は廉名(清廉の評判)なし、名を立つる(評判が立つ)は正に貧(顕示欲が強い)となす所以なり。大巧は巧術なし(妙技を見せびらかさない)、術を用うる(妙技を見せびらかす)は乃ち拙(未熟)となす所以なり。
○ 76.地の穢れたるは多く物を生じ、水の清きは常に魚なし、故に君子は当に垢を含み汚を納るるの量を存すべし、潔を好み独り行うの操(独りよがりの潔癖)を持すべからず。
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